edamamesakuraの部屋

趣味で描いてる漫画や、好きな作家さんについて書いています。

サザンオールスターズ「葡萄」

サザンのアルバムを購入して初めて聴く時は、必ず感動と満腹感、多幸感にひたれるのですが、
このアルバムの初聴きは、何の感慨も湧いてこなくて、自分でも驚きました。
作品自体を良くないと思ったわけではなく、むしろ完璧だと思ったのですが、なぜか不感症に。
あとから振り返るとマスタリングが、その前の桑田さんのベストのような前に出てくる感じとは逆で、奥に引っ込む感じだったのでそうなったのではと想像しますが、
本当の所はよくわかりません。

先行シングル「東京VICTORY」を初めて聴いた時の感想は、とにかく構成が凝っていてこの曲に勝負かけてるな、という印象だったので、
桑田さん、オリンピックの開会式でこの曲披露したいと口には出しませんが秘かに思っていて、その後5年近く地道に世間に浸透させようとして事務所が尽力してたような印象。
(TBSでは「東京VICTORY」というタイトルのオリンピック情報番組までやってましたし)
けれど、その後あっさりソロで「SMILE~晴れ渡る空のように~」を出したので、あまり緻密な計画があったわけではないようです。

今でもこのアルバムは非の打ちどころがないし、捨て曲ゼロという印象は変わりません(天国オンザビーチは浮いてますが…)
作品の価値とは別になりますが、歌詞の内容が今だとピント外れのようになってしまったなぁという曲はあります。
北朝鮮に対して、「後がないのはむこうさ、瀬戸際の状況さ」と歌ってますが、現在、追い詰められてるのは日本の方です。

「ピースとハイライト」の歌詞「絵空事かな、おとぎ話かな、互いの幸せ願う事など」は今ではファンタジーとさえ思えてしまう、悪夢のような世の中になってしまいました…


「平和の鐘が鳴る」では原爆を落とされた被爆国、日本という認識。
アルバム最後を飾る「蛍」では太平洋戦争で散っていった人達への鎮魂を。
現在、過去を通じて強く、日本、日本人というのを意識したアルバムだと思います。
ただ、洋楽ロック、ポップスに憧れ、半分英語で歌ってきた桑田さんならではの、
ソロ作品「ROCK AND ROLL HERO」での「アメリカは僕のHERO」とか「金は出しても口出せぬ」みたいな鋭い切り口が欲しかった。