私はサザンオールスターズのファンでして、87年当時、原由子さんがリリースした「あじさいのうた」という曲が好きで、
その曲が主題歌になっているという理由で、今は無き歌舞伎町の映画街でこの映画『BU・SU』を観ました。
東京の映画館で最初に観たのが相米監督の「光る女」(プロレスラーの主人公がやたら苦戦するのでフラストレーション溜まった…)
2番目がこの『BU・SU』で新宿のオールナイト上映で朝まで3回くらいリピートしたのですが、いずれも途中でウトウトしてしまい、
それでも断片的に繋げるとおそらく全編観たのだろうという感じでした。
つまらなかった訳ではなく、むしろ印象深い作品で、ただ夜中に映画を観るのは初めてで、眠くなる行為だったという事です。
最初のシーンから印象的で、初めて耳にした歌曲「花の街」をバックに主人公の少女、麦子を乗せた列車が東京へ、銀座へ到着。
有楽町マリオンがでかでかとそびえ立ち、沢口靖子が主演していた映画「竹取物語」の看板がやたら目立つ。
麦子を演じるのはアミューズの女優第一号、富田靖子。タイトルはブスだが、彼女はかわいい。この映画では心がブス(暗い過去で屈折して鬱屈している)
で口数少なく、俯いたむっつりした場面が多い。それだけにエンディングでの満面の笑顔が胸にささる。
市川監督は街の情景を撮る天才で、この映画を観た事で、自分の街を見る目が変わった。観光名所ではなく、普通の人々が暮らす街の景観こそ
魅力的で美しくて楽しい。
後、エンディングの画面は全て白黒の富田靖子のアップで、モノクロの写真を美しいと思ったのも、この時が初めてでした。
それまでは白黒写真というのは、カラー写真のない時代の過去の遺物と思ってたので…
そう考えると、この映画は自分の芸術観に多大な影響を与えた作品だったなぁと改めて思うのでした。
市川監督有難うございます。
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