edamamesakuraの部屋

趣味で描いてる漫画や、好きな作家さんについて書いています。

佐藤宏之先生「プリーズMrジョックマン」

「気分はグルービー」の最終巻手前くらいから徐々に絵柄が変化していきましたが、この作品の1巻目で、またもとのライトな感じに軌道修正しています。
が、ご自身の画風の変化の流れには抗えず、3巻あたりで完全にヒートアップしてきます。
作品の内容は中学生の主人公 玉造銀次(たまつくりぎんじ)が好きな女の子に振り向いてもらいたくて悪戦苦闘するという、たわいないものなんですが、
絵柄がそういう軽いラブコメを描くようなスタイルから遠のいてしまっています。

5巻以降、いきなり中学生夫婦として同居生活が始まり、あげくの果てに父親の連れ子(?)まで登場してかなり所帯じみてきて、とても中学生には見えない。
(前作もそうでしたが酒もタバコもやり放題)
かなりとっちらかった作品なんですが、私にとってこの作品が漫画の絵の理想でありお手本となって現在に至ります。

 

 

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言葉でその魅力を説明するのは難しいですが、第一に描線の力強さは唯一無二の存在だと思います。
太い線を美しく描ける人はあまりいない…先生が仲間とのバンド活動でドラムをやっていた経験が生きているのかもしれません。
あと、商業誌ではあまり見かけないような絵の構図の取り方。
いきなり説明も無く登場する般若の面。ATG映画の影響ではないかと思いますが、真正面からそれを漫画の表現として取り入れる人はあまりいないし、
ここまで精緻な作風で、となると皆無ではないかと思います。

ただ、そういうものを喜んで求めている人が当時の少年チャンピオン読者に大勢いるわけではなく、特に注目される事もなく作品は埋もれていくのでした。