edamamesakuraの部屋

趣味で描いてる漫画や、好きな作家さんについて書いています。

佐藤宏之先生「樹里」

その後定期的にヤングサンデーで読み切り作品を描き、それをまとめた単行本が「銀の月」
3話完結式の長い読み切りが2作収録されています。最初が「銀の月」女になって田舎に戻ってきたお兄ちゃんの話。
次が「カプリチオ」偶然、拳銃を手に入れてしまった少年のロードムービー的作品。
面白そうな設定なんですが、何かどちらもすっきりしない感じです。

それから古巣の秋田書店ヤングチャンピオンで「樹里」の連載が始まります。
その少し前に同誌で「蝦蟇の脂汗(がまのあぶらあせ)」という読み切りが掲載され「樹里」は、その設定の延長線上にある作品でした。
SM指向のある小悪魔的少女、樹里に翻弄される主人公の話なんですが、全体的に退廃的で虚無な雰囲気が漂います。
そして男女の裸のシーンが大量に登場しますが、その肉体は色艶が感じられない、物体として描かれています。
なんか人間が嫌になり、虚無的な心境になっている為に、こういう物語が生まれ、こういう絵になっているように思えました。

単行本は1冊出ていますが未完。しかし本誌での連載はきちんと第一部という形では完結しています。
残り1話分なので少しページ数を増やせば全部収録できたのに…編集の人が続きを描いてほしいからわざと入れなかった…と好意的に解釈していますが…

内容は樹里と別れてからしばらく時が過ぎ、主人公が車を運転していると偶然、男と一緒に楽しそうに歩いてる樹里を見かける。
それに気を取られて、主人公の車は電柱に激突。主人公は血を流してはいるものの、命に別状はなさそう。
「きっとまた、何か起こる」主人公のモノローグで終わります。

 

樹里 1 (ヤングチャンピオンコミックス)

樹里 1 (ヤングチャンピオンコミックス)